
私道の通行・掘削の承諾が
取れない家は、売れるのか
売れます。承諾書は、あれば楽になる紙であって、無ければ売れない紙ではありません。 2023年4月から、掘る権利は民法の条文になりました。
宅地建物取引業 東京都知事免許(1)第113689号
「承諾書を取ってきてください」で、
売却が止まっている方へ。
相続した実家は、公道から私道を入った奥にある。仲介会社に相談したら、 「私道の所有者全員から通行・掘削の承諾書をもらってきてください」と言われた。 登記を取ると、私道の共有者は七人。一人は住所が分からず、一人は 「先代同士の話は知らない、判を押すなら承諾料を」と言う——。 木造密集地域の再建築不可の家では、この一枚で売却が止まることが本当に多くあります。
答えは「承諾書が無いと売れない」ではありません。 2023年4月1日に施行された民法の改正で、他人の土地に水道管やガス管を通す権利は第213条の2という条文になりました。下水については、それより前から下水道法第11条が同じことを定めています。法務省は、この権利が成立する場合には承諾書がなくとも民法上は設備の設置が可能で、承諾料に応ずる義務はないと、 ガイドラインに明記しました。
このページでは、通る権利と掘る権利を七つに整理します。条文は2026年9月21日にe-Gov法令検索で本文を取得して突き合わせ、 運用は法務省の「所有者不明私道への対応ガイドライン(第2版)」と、 東京都水道局・下水道局・主税局、区の公開資料を同日に本文で確認しました。 先に二つ申し上げておきます。当社は、裁判例を引用していません。裁判所のサイトで原文を確認できたものが無かったからです。 そして、「承諾が無くても勝手に掘ってよい」とは書きません。法律上の権利があっても、通知と、拒まれたときの裁判所の手続が要ります。
承諾書の話より先に、
どの条文が何を認めているかの話をします。
いずれもe-Gov法令検索の条文本文と、法務省・東京都・区の公開資料で確認した内容です。 個別の私道について通行権や設備設置権が成立するかどうか、償金がいくらかを 判定するものではありません。判断は、弁護士・司法書士へご確認ください。ここでは、 どの条文にもとづいて、誰の同意が、いくつ要るのかまでをお伝えします。
「今まで通れていた」「今まで水が来ていた」は、権利の証明ではありません。最初に確かめるのは、道の種類と、誰の土地かです
私道には二つの顔があります。一つは建築基準法の顔で、その道が同法第42条の「道路」に当たるかどうかです。土地を建築物の敷地として利用するために築造され、特定行政庁からその位置の指定を受けた道(第42条第1項第5号=位置指定道路)や、この章の規定が適用された際に建築物が立ち並んでいた幅4m未満の道で特定行政庁が指定したもの(同条第2項)は、私有地であっても「道路」で、接道の条件に使えます。どれにも当たらない通路は、道路ではありません。この見分け方は調べ方の記事にまとめました。もう一つは民法の顔で、その道の土地を誰が、どういう形で持っているかです。法務省の「所有者不明私道への対応ガイドライン(第2版)」は、複数の者が所有する私道を二つに分けています。私道の敷地全体を複数の者が所有し、民法第249条以下の共有の規定が適用されるものが「共同所有型私道」。私道が複数の筆から成り、隣接する宅地の所有者等が各筆をそれぞれ所有して、相互に利用させ合うものが「相互持合型私道」。分譲業者や元の地主が一人で持ち続けている私道もあります。どの形かで、通行・掘削の話し合いの相手と、同意の数え方が変わります。確かめる書類は三つです。私道部分の登記事項証明書(甲区に所有者と持分、乙区に地役権の登記があるか)、公図(私道が何筆に分かれ、どう切られているか)、区の建築指導課の道路の図面(42条のどの道路か、道路でないか)。「前の所有者のときは何も言われなかった」「昔から皆が通っている」は、この三つの書類のどこにも載りません。売買のときには、宅地建物取引業者が関わる取引であれば、私道に関する負担(宅地建物取引業法第35条第1項第3号)と、飲用水・電気・ガスの供給と排水のための施設の整備の状況(同項第4号)が重要事項説明の対象です。買主は、この説明で私道の権利関係を知ります。
当社の査定では、最初にこの三つの書類を当社で取り寄せ、私道の種類と所有の形を確定させます。売主の方に「承諾書を取ってきてください」とは言いません。誰に何を頼めばよいのかを書類で確かめるのが先で、その作業は当社が行います。
根拠:建築基準法第42条第1項第5号・第2項/民法第249条/宅地建物取引業法第35条第1項第3号・第4号/法務省「所有者不明私道への対応ガイドライン(第2版)」第1章・第2章(共同所有型私道・相互持合型私道の定義)
通る権利の根拠は三つあります。囲繞地通行権は「公道に通じない土地」だけ、地役権は登記があれば次の所有者にも、位置指定道路の廃止は行政が止められます
一つ目は、民法が法律上当然に認める通行権です。他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができます(第210条第1項)。池沼・河川・水路・海を通らなければ公道に至れないとき、崖があって公道と著しい高低差があるときも同じです(同条第2項)。ただし通行の場所と方法は、通行権者のために必要で、かつ他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならず(第211条第1項)、必要があれば通路を開設でき(同条第2項)、通行する他の土地の損害に対して償金を支払う必要があります。通路の開設による損害以外は1年ごとの支払いでも構いません(第212条)。土地の分割や一部の譲渡で袋地が生じたときは、他の分割者・譲渡人の土地だけを通ることができ、償金は要りません(第213条)。この権利は「公道に通じない土地」の所有者にしかありません。私道を通らなくても公道に出られる土地には、この条文は使えません。二つ目は、契約で設定する地役権です。地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を持ちます(第280条)。便益を受ける側の土地が要役地、提供する側の土地が承役地で、地役権は要役地の所有権に従って移転し、要役地から切り離して譲り渡すことはできません(第281条)。つまり家と土地を売れば、地役権は買主に付いていきます。ただし第三者に対抗するには登記が必要です(第177条)。地役権の登記は承役地についてされ、登記事項は要役地・設定の目的と範囲などで、地役権者の氏名は登記されず、要役地に所有権の登記がなければ設定の登記はできません(不動産登記法第80条第1項〜第3項)。承役地に登記がされると、登記官が要役地についても職権で登記します(同条第4項)。地役権は、継続的に行使され、かつ外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することもできます(民法第283条)。法務省のガイドラインは、相互持合型私道では、各土地の所有者が互いに通行を目的とする地役権を設定していると考えられており、分譲業者が一団の土地を分譲して私道を開設した場合には、黙示の地役権の設定がされていることが通常である、と説明しています。三つ目は、建築基準法の側からの歯止めです。私道の変更または廃止によって、その道路に接する敷地が接道義務(第43条第1項、または同条第3項に基づく条例)に抵触することになる場合、特定行政庁はその変更・廃止を禁止し、または制限することができます(第45条第1項)。これは行政が私道の所有者に対して行う制限であって、通行する人に私法上の通行権を与える条文ではありません。位置指定道路の通行を妨害された人がどういう請求をできるかについては裁判例がありますが、当社は裁判所のサイトで原文を確認できなかったため、ここでは引用しません。
当社は、登記事項証明書の乙区に地役権の登記があるか、公図上で対象地が袋地に当たるか、前の道が位置指定道路かを、査定の段階で確かめます。地役権の登記が無く、袋地でもなく、承諾書も無い私道——いちばん多い形——でも、次の03と04の法律上の道があるので、買い取れないとは判断しません。
根拠:民法第177条、第210条〜第213条、第280条、第281条、第283条/不動産登記法第80条/建築基準法第43条第1項・第3項、第45条第1項/法務省「所有者不明私道への対応ガイドライン(第2版)」第2章2(相互持合型私道の法律関係・通行地役権)
掘る権利は、2023年4月1日から民法の条文です。承諾書が無くても民法上は設備を設置でき、承諾料に応じる義務はない、と法務省は書いています
2023年3月31日までの民法には、他人の土地に水道管やガス管を通す権利を正面から定めた条文がありませんでした。隣地の使用も、第209条が「隣地の使用を請求することができる」と定めるだけで、請求して断られたら裁判、という構造でした。法務省の資料は、明文の規定が無いため、設置に応じてもらえないときや所有者が所在不明のときに対応が困難で、不当な承諾料を求められるケースもあった、と改正の理由を書いています。2023年4月1日に施行された改正で、第213条の2が新設されました。第1項——土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、または他人が所有する設備を使用しなければ、電気・ガス・水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、または他人が所有する設備を使用することができる。法務省の資料は、「これらに類する継続的給付」に電話・インターネット等の電気通信が含まれること、隣接していない土地にも必要な範囲で設置できることを明記しています。第2項——設置・使用の場所と方法は、他の土地または他人の設備のために損害が最も少ないものを選ぶ。法務省は、公道に至るための通行権の対象部分や公道に通ずる私道があれば通常はその部分を選ぶ、としています。第3項——あらかじめ、目的・場所・方法を、他の土地等の所有者と、他の土地を現に使用している者に通知する。第4項——設置・使用のために他の土地を使用でき、その使用には隣地使用権の規定(第209条第1項ただし書・第2項〜第4項=住家には居住者の承諾なしに立ち入れない、損害が最も少ない日時・場所・方法、事前の通知、償金)が準用される。第5項——他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害に対して償金を支払う。1年ごとの支払いでもよい。第6項——他人の設備を使用する者は、使用を開始するために生じた損害に償金を支払う。第7項——他人の設備を使用する者は、利益を受ける割合に応じて、設置・改築・修繕・維持の費用を負担する。第213条の3は、土地の分割や一部譲渡によって設備を設置しなければ継続的給付を受けられない土地が生じたときは、他の分割者・譲渡人の土地だけに設置でき、第5項の償金は要らない、と定めます。法務省の「所有者不明私道への対応ガイドライン(第2版)」は、この条文について、設備設置権が成立する場合には隣地所有者の承諾書がなくとも民法上は設備の設置が可能であること、隣地所有者から不当な承諾料を求められても応ずる義務はないことを明記しています。償金の対象になる「損害」は、工事のために一時的に土地を使うことで生じた実損害と、設備の設置で土地が継続的に使えなくなる損害(設置部分の使用料相当額)で、導管を地下に設置して地上の利用を制限しないケースでは損害が認められないことがある、というのが法務省の説明です。ここで二つ、はっきり書いておきます。第一に、この権利があっても自力執行はできません。法務省の資料は、設備の設置・使用を拒まれた場合には妨害禁止の判決を求めることになる、他方で他の土地が空き地で実際に使用している者がおらず妨害されるおそれもない場合には裁判を経なくても適法に設置できると考えられる、と事案ごとの判断であることを前置きして書いています。第二に、通知は例外なく必要です。相手が不特定または所在不明であっても、簡易裁判所の公示による意思表示(第98条)を使って通知します。通知から着手までは、相手が準備をするに足りる合理的な期間(事案によるが2週間〜1か月程度)を置く、というのが法務省の目安です。
当社は、承諾書が取れていない私道でも現況のまま買い取ります。買い取ったあと、第213条の2の要件(他の土地を通さなければ給付を受けられないこと)を書類で確かめ、所有者と使用者への通知、損害が最も少ない経路の選定、償金の話し合いを当社の名前で行います。売主の方が私道の所有者と直接やり取りする必要はありません。
根拠:民法第98条、第209条、第213条の2、第213条の3/改正前民法第209条(2023年3月31日時点の条文)/法務省「所有者不明私道への対応ガイドライン(第2版)」コラム「改正民法③ ライフラインの設備設置権・設備使用権の創設」/法務省民事局「民法改正と『共有私道ガイドライン』の改訂について」(ライフラインの設備の設置・使用権①②)
下水には、民法より先に下水道法11条がありました。水道の給水管は「お客さまの財産」で、承諾書が無いことは、給水を断る正当な理由に当たりません
下水は、民法の改正を待たずに法律がありました。公共下水道の供用が開始された排水区域内の土地では、建築物の所有者は遅滞なく、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管・排水渠その他の排水設備を設置しなければなりません(下水道法第10条第1項第1号)。そして、他人の土地または排水設備を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難であるときは、他人の土地に排水設備を設置し、または他人の設置した排水設備を使用することができます(第11条第1項前段)。この場合、他人の土地・排水設備にとって最も損害の少ない場所・箇所・方法を選ぶこと(同項後段)、他人の排水設備を使う者は利益を受ける割合に応じて設置・改築・修繕・維持の費用を負担すること(第2項)、設置や維持のためやむを得ない必要があるときは他人の土地を使用できるが、あらかじめその旨を土地の占有者に告げること(第3項)、使用で損失を与えたときは通常生ずべき損失を補償すること(第4項)まで、条文に書かれています。法務省のガイドラインは、相互持合型私道で他人の筆の下に排水管を通して公共下水管につなぐ事例について、下水道法第11条第1項により、所在不明の所有者の同意を得ることなく、最も損害の少ない場所・方法で排水設備を設置できる、と結論づけています。水道は少し仕組みが違います。水道法は、需要者に水を供給するために水道事業者が施設した配水管から分岐して設けられた給水管とこれに直結する給水用具を「給水装置」と定義しています(第3条第9項)。公道の下の配水管は水道局のもの、そこから枝分かれして各家に向かう給水管は各家のものです。東京都水道局も「給水管はお客さまの財産」と書いています。だから私道の下の給水管を新しく引く・直すのは、法律上は各家が自分の設備を他人の土地に置く話で、第213条の2の世界です。ここで水道事業者には給水義務があります。事業計画に定める給水区域内の需要者から給水契約の申込みを受けたときは、正当の理由がなければ拒んではなりません(第15条第1項)。法務省のガイドラインは、他人の土地の地下に給水装置を設置する工事の申込みに際して水道事業者が土地所有者の承諾書の提出を求める例があることについて、平成28年11月28日付けの厚生労働省水道課長通知の要旨を掲載しています。承諾書を得るために金銭を要求される、土地の所有者と連絡が取れず承諾書を得られない等の事情が生じているが、承諾書の提出が無いことは給水義務を解除する正当の理由には当たらない、という内容です。ガイドラインはこれに続けて、設備設置権が成立する場合には承諾料を求められても応ずる義務はなく、承諾書がなくとも民法上は設備設置が可能であることを踏まえ、承諾書の提出を求める正当性について地方公共団体が点検することが望ましい、と書いています。実務の現在地も書いておきます。東京都水道局は、水道メーターが3個以上ある私道に、水道局の負担で水道局所有の配水管を布設し、お客さまが所有する給水管を整理する工事を計画的に行っています。この工事は、私道を所有する全ての方から「私道内配水管布設承諾書」を得ることが着手の条件で、水道局が登記所で公図と登記事項要約書を取って所有者を特定し、訪問・電話・郵便で承諾を依頼します。借地なら借地権者の承諾も必要です。メーターが2個以下の私道や、承諾が得られなかった私道では、代わりに給水管をステンレス管に取り替える工事が用意されていて、こちらは給水管の所有者の依頼書と、掘削させてもらうお客さまと近隣の理解が前提です。東京都下水道局は、私道に設けられる排水管や側溝(私道排水設備)について「私道排水設備はお客さまの財産です。下水道局で清掃・工事等を行うことはできません」と明記し、複数で共用している場合は所有者・使用者で情報共有し相談・調整するよう案内しています。区には私道に下水管を入れるときの助成があり、たとえば大田区は、私道が建築基準法第42条の道路であること、私道内に下水を流そうとする家が2軒以上あること、土地所有者の承諾および関係者の同意が得られること、位置指定道路なら位置指定申請図のとおり現地を復元できること、などを条件にしています。国土交通省が令和3年1月に公共下水道管理者と東京23区(計1,449団体)に行った調査では、共有私道への排水設備設置の申請時に私道共有者の同意書を求めている団体が1,020団体あり、うち同意書を求める範囲を「全員」としていたのが737団体(72%)でした。助成制度を持つ331団体のうち同意書を求めていたのは200団体で、その153団体が「全員」でした。法律上は同意が要らない場合があっても、届出や助成の窓口で同意書を求められることがある、というのが現実です。
当社は、買い取った家の給排水の経路を、水道局の給水装置の図面と区の下水道台帳で確かめ、私道の下にある管が誰の財産かを先に整理します。区の助成を使う場合の同意書の要件と、法律上の権利は別物として扱います。売主の方が水道局や下水道局に問い合わせる必要はありません。
根拠:下水道法第10条第1項、第11条第1項〜第4項/水道法第3条第9項、第15条第1項/法務省「所有者不明私道への対応ガイドライン(第2版)」事例20・コラム「上水道に関する通知・条例」(生食水発1128第1号・平成28年11月28日厚生労働省水道課長通知の要旨)/東京都水道局「私道に配水管を入れる工事を行っています」「私道内配水管布設承諾書」「私道内給水管ステンレス化工事」/東京都下水道局「私道の下水道管(私道排水設備)に関する疑問・トラブル・お困りごとについて」/大田区「私道に下水道を引くときは(私道排水設備助成)」/国土交通省「共有私道における排水設備の設置等に係る現状について」(令和3年1月調査)
共有の私道で工事の同意を何人分そろえるかは、民法の三つの箱で決まります。自分の給水管・排水管を私道の下に通すだけなら、法務省の事例では他の共有者の同意は要りません
共同所有型私道——1筆の私道を何人かで持分を持って共有している形——では、民法の共有の規定が同意の数え方を決めます。共有の記事で書いた三つの箱です。保存行為は各共有者が単独でできます(第252条第5項)。管理に関する事項は各共有者の持分の価格に従いその過半数で決し(同条第1項)、共有物に変更を加えるには他の共有者の同意が要りますが、その形状または効用の著しい変更を伴わないもの(軽微変更)は変更から除かれ、管理として過半数で決められます(第251条第1項)。2023年3月31日までの第251条は「共有物に変更を加えることができない」とだけ書かれていて軽微変更の例外が無く、法務省の概要資料は、当時は事実上共有者全員の同意を得る運用がされていた、と説明しています。法務省のガイドラインは、私道の工事を37の事例に分けて当てはめています。私道に接する宅地の所有者が自宅に水を引くために私道を掘って自分の給水管を公道下の配水管につなぐ工事(事例11)は、各共有者は共有物の全部についてその持分に応じた使用をすることができる(第249条第1項)ことから、他の共有者の同意を得る必要はなく、給水管の設置によって自己の持分を超えて使用するものとは解されないので対価の償還義務(同条第2項)も負わない、という結論です。自分の排水管を私道の下に通して公共下水管につなぐ工事(事例19)も同じ理屈で単独です。砂利道をアスファルトで舗装する工事(事例5)は、形状にある程度の変更を伴うが著しくはなく、効用も通路としての機能を向上させるにとどまるので軽微変更に当たり、持分の過半数の同意で行える。区が私道の下に公共下水管を新設するために私道の所有者と利用権設定契約を結ぶこと(事例23)は、私道の機能に変更が生じず私道の共有者自身も使うことから管理に関する事項に当たり、持分の過半数で決する。共有者の一人と連絡が取れないときには、裁判所の決定を得て、所在等不明共有者以外の共有者の持分の過半数で管理に関する事項を決め(第252条第2項第1号)、所在等不明共有者以外の全員の同意で変更を加える(第251条第2項)道があります。催告しても賛否を明らかにしない共有者がいるときも、裁判所の決定を得てその共有者以外の過半数で決められます(第252条第2項第2号)。ガイドラインは、催告から回答までの相当の期間は通常2週間程度、裁判所の公告・通知から1か月以上の期間を経て決定される、という手続の流れも書いています。私道が亡くなった親の名義のまま相続人の共有(遺産共有)になっている場合も、この共有の規定が適用され、持分は法定相続分(指定があれば指定相続分)を基準に数えます(第898条第2項)。相互持合型私道——各筆を別々の人が持っている形——では、共有の規定は使えません。自分の筆でない部分については、02の地役権と03の第213条の2、下水は04の下水道法第11条の話になります。ガイドラインの事例12・20は、相互持合型で他人の筆の下に給水管・排水管を通す工事を、地役権・設備設置権・下水道法によりいずれも単独で可としています。一方、区が公共下水管を新設する事例24では、相互持合型では設置部分の各土地の所有者がそれぞれ区と利用権設定契約を結ぶ必要があり、所在不明の所有者の筆には設置が困難、という結論です。同じ「私道の下に下水管を入れる」でも、誰の管を誰が入れるかで答えが変わります。
当社は、私道の登記から共同所有型か相互持合型かを見分け、予定する工事が三つの箱のどれに当たるかを法務省の事例に当てはめて整理します。所在の分からない共有者がいる場合の裁判所の手続(申立ての要否・期間)も、買い取ったあとに当社が引き受けます。
根拠:民法第249条第1項・第2項、第251条第1項・第2項、第252条第1項・第2項・第5項、第898条第2項/改正前民法第251条・第252条(2023年3月31日時点の条文)/法務省「所有者不明私道への対応ガイドライン(第2版)」第2章1、事例5・11・12・19・20・23・24、導管関係等対照表/法務省民事局「所有者不明私道への対応ガイドライン(第2版)について」(概要)
承諾書は当事者の約束で、次の所有者に自動的には引き継がれません。買主に引き継がれるのは、登記した地役権と、法律上の権利です
「通行・掘削承諾書」は、私道の所有者が「あなた(と、あなたから買った人)がこの私道を通り、掘ることを認めます」と書いた紙で、法律上は当事者間の契約です。誰に対して何を認めたかは紙の文言で決まり、宛名が亡くなった親で「その承継人」の文言が無ければ、いまの所有者や買主に効くかどうかは解釈の問題になります。承諾した側の私道が相続や売買で別の人のものになれば、その新しい所有者は承諾書の当事者ではありません。未接道の土地の買取ページで「口約束のままでは所有者が変わったときに引き継がれる保証がない」と書いたのは、この意味です。だから、次の所有者にも確実に引き継がれる形は二つに限られます。一つは登記した地役権です。02で書いたとおり、地役権は要役地の所有権とともに移転し(第281条第1項)、承役地に登記をすれば第三者に対抗できます(第177条、不動産登記法第80条)。設定の登記は原則として地役権者と承役地の所有者の共同申請(同法第60条)ですから、私道の所有者の協力が要ります。協力が得られないとき、契約書や承諾書が地役権の設定契約と読めるなら判決で登記を求める道、要件を満たすなら時効取得(民法第283条)を主張する道がありますが、いずれも裁判の話で、当社が個別の見通しを述べる立場にはありません。もう一つは、契約が無くても法律が土地の所有者に与えている権利です。第213条の2の設備設置権・設備使用権と下水道法第11条は「土地の所有者」「排水設備を設置しなければならない者」の権利ですから、家と土地を買った人にもそのまま備わります。承諾書が無い私道でも買主が困らない理由はここにあります。裏返して、私道を持っている側の話も書いておきます。共同所有型私道の持分を持っている、あるいは相互持合型私道の一筆を持っている方が、隣の家から掘削の承諾を求められたとき、第213条の2の要件が満たされていれば設置を拒む法律上の根拠は無く、承諾料を求める根拠もありません。求められるのは、工事の一時使用で生じた実損害と、設置部分の継続的な使用の損害に対する償金(同条第4項・第5項)で、地下に導管を通して地上の利用を制限しないなら損害が認められないことがある、というのが法務省の説明です。他方で、その私道が利用上の制約を設けず不特定多数の人の利用に供され、客観的に道路として認定できる形態を持つなら、固定資産税・都市計画税が非課税になる仕組みがあります(地方税法第348条第2項第5号)。東京都主税局の案内では、通り抜け私道なら幅員1.8m程度以上、行き止まり・コの字型なら2以上の家屋の用に供され専ら通行に使用され幅員4.0m以上(従前から存在していた道路は1.8m以上)が要件で、植木・室外機・車を置く、門扉・車止めなどの障害物があると非課税になりません。申告制で、年内に申告して都税事務所が確認したものは翌年4月に始まる年度から適用されます。持分の固定資産税は固定資産税の記事にまとめました。
当社が買主になる場合、承諾書の有無は買えるかどうかの条件ではなく、買ったあとに当社がどの道(地役権の登記・第213条の2の通知・下水道法第11条)を取るかの分かれ目です。売主の方には、手元にある承諾書・地役権設定契約書・分譲時の図面があればそのままお預かりし、無ければ「無い」と告知書に書いていただきます。それで足ります。
根拠:民法第177条、第213条の2第4項・第5項、第281条第1項、第283条/不動産登記法第60条、第80条/下水道法第11条/地方税法第348条第2項第5号/東京都主税局「道路非課税の申告をお願いしています」「道路に対する非課税のご案内」/法務省民事局「民法改正と『共有私道ガイドライン』の改訂について」(償金の説明)
再建築不可の売却では、承諾書の有無は「売れるか」ではなく「誰が段取りを引き受けるか」の問題です。ただし、通行権や設備設置権があっても、接道の条件は別に残ります
売れない理由の記事に書いたとおり、再建築不可の物件は住宅ローンの多くが融資対象外で、買主は現金で買う個人か、当社のような買取業者が中心です。住むために買う個人にとって、承諾書の無い私道は「引っ越してから水道の引き直しで揉めるかもしれない」不安そのものですから、仲介会社が「承諾書を取ってから」と言うのは、その買主のためです。取れるなら取っておくに越したことはなく、売り方の選択肢は広がります。ただ、共有者の一人が所在不明、承諾料を求められている、相手が「先代同士の話は知らない」と言っている——こうした状況で承諾書が取れるまで売却を止める必要はありません。03〜05で書いたとおり、通知・償金・裁判所の手続を含めて法律上の道があり、その段取りを引き受けるのが買取業者の仕事だからです。当社の査定では、私道について次の五つを見ます。①前の道が第42条のどの道路か、道路でない通路か(調べ方の記事の手順)。②私道の所有の形(単独・共同所有型・相互持合型)と、所在の分かる所有者の数。③乙区の地役権の登記の有無と、承諾書・分譲時の図面の有無。④既設の給水管・排水管・ガス管の位置と所有者(誰の管が誰の土地の下を通っているか)。⑤位置指定道路なら、指定の図面と現況の一致。承諾が無いことは、この五つの中の一つの手間であって、それ自体で買い取れない理由にはなりません。手間の量は値段に反映されます。もう一つ、はっきり書いておきます。囲繞地通行権があっても、地役権があっても、第213条の2の設備設置権があっても、建築基準法第43条の接道の条件を満たしたことにはなりません。通れる・掘れるという民法の話と、建て替えられるという建築基準法の話は別で、旗竿地の買取ページと未接道の買取ページに書いたとおり、建て替えには区の許可制度や隣地との調整が別に要ります。私道の承諾書がそろっても再建築不可は再建築不可のままです。だから当社は、承諾書の有無と建て替えの可否を切り分けて査定し、前者は段取りの手間、後者は出口の設計として、それぞれ金額の根拠を書面でお示しします。売る側で用意するものは、告知書に事実を書くことだけです。承諾書は無い、私道の所有者の一人と連絡が取れない、以前に承諾料を求められた——知っていることをそのまま書けば、売ったあとの責任の記事で書いた第572条の「知りながら告げなかった事実」には当たりません。
当社の見積は、①金額②私道について当社が引き受ける段取り(通知・地役権の登記・区の手続)③建て替えの可否と出口の見立て④引渡しの状態と免責の範囲、の四つを一枚に並べてお出しします。承諾書が取れていないことを理由に金額を後から下げることはしません。最初から織り込んで出します。
根拠:建築基準法第42条、第43条/民法第210条、第213条の2、第280条、第572条/法務省「所有者不明私道への対応ガイドライン(第2版)」/このサイトの旗竿地・未接道の買取ページ、売れない理由・調べ方・売ったあとの責任の記事
七つの決まりを、
条文の言葉のまま並べます。
以下は、条文と法務省・東京都の公開資料に載っている決まりだけを2026年9月21日に 確認して並べたものです。承諾料や償金の相場、工事費の目安、裁判になったときの 費用や期間、裁判例は含めていません。
公道に至るために他人の土地を通る(囲繞地通行権)
他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者だけ。契約が無くても法律上当然に生じる
民法第210条〜第213条
通行の場所と方法は通行権者に必要で、かつ他の土地の損害が最も少ないものを選ぶ(第211条第1項)。必要があれば通路を開設できる(同条第2項)。損害に対して償金を支払う。通路開設の損害以外は1年ごとでもよい(第212条)。分割や一部譲渡で袋地になったときは他の分割者・譲渡人の土地だけを無償で通行できる(第213条)。
補足:私道を通らなくても公道に出られる土地には使えません。通行権があっても建築基準法第43条の接道を満たしたことにはなりません。
契約で通行・導管の権利を設定する(地役権)
私道の所有者との合意。分譲時の相互持合型私道では黙示の設定が通常と法務省は説明
民法第280条、第281条、第283条、第177条/不動産登記法第60条、第80条
設定行為で定めた目的に従い他人の土地(承役地)を自己の土地(要役地)の便益に供する権利(第280条)。要役地の所有権とともに移転し、切り離して譲渡できない(第281条)。第三者に対抗するには承役地への登記が必要(第177条・不動産登記法第80条)。継続的に行使され外形上認識できるものに限り時効取得できる(第283条)。
補足:登記は原則として地役権者と承役地所有者の共同申請(不動産登記法第60条)。承役地に登記がされると要役地にも職権で登記される(第80条第4項)。要役地に所有権の登記が無いと設定の登記はできない(同条第3項)。
電気・ガス・水道などの設備を他人の土地に設置し、他人の設備を使用する
2023年4月1日施行。他の土地に設備を設置し、または他人の設備を使用しなければ継続的給付を受けられないとき
民法第213条の2、第213条の3
必要な範囲内で設置・使用できる(第1項)。場所と方法は損害が最も少ないもの(第2項)。あらかじめ目的・場所・方法を所有者と現に使用している者に通知(第3項)。工事のための土地の使用には隣地使用権の規定を準用(第4項)。設置の損害に償金・1年ごと可(第5項)。他人の設備の使用開始の損害に償金(第6項)。利益の割合に応じて設置・改築・修繕・維持の費用を負担(第7項)。
補足:法務省:承諾書がなくとも民法上は設置可能、承諾料に応ずる義務はない。ただし自力執行は禁止で、拒まれたら妨害禁止の判決を求める。通知は相手が所在不明でも例外なく必要(公示による意思表示・第98条)。分割・一部譲渡で生じた場合は分割者・譲渡人の土地だけ・第5項の償金不要(第213条の3)。
下水を公共下水道に流すために他人の土地・排水設備を使う
公共下水道の排水区域内で排水設備を設置しなければならない者。民法の改正前から
下水道法第10条第1項、第11条第1項〜第4項
他人の土地または排水設備を使用しなければ下水を公共下水道に流入させることが困難なときは、他人の土地に排水設備を設置し、または他人の排水設備を使用できる。最も損害の少ない場所・箇所・方法を選ぶ(第11条第1項)。他人の排水設備を使う者は利益の割合に応じて費用を負担(第2項)。工事のための土地の使用はあらかじめ占有者に告げる(第3項)。損失は補償(第4項)。
補足:法務省ガイドライン事例20:相互持合型私道で他人の筆の下に排水管を通す工事は、所在不明の所有者の同意を得ることなく可能。区の助成や届出の窓口では別途、同意書を求められることがある(国土交通省の令和3年1月調査)。
水道の給水の申込み
私道の下に自分の給水管を新設・補修して配水管につなぐとき
水道法第3条第9項、第15条第1項
配水管から分岐した給水管と直結する給水用具は「給水装置」で需要者の財産(第3条第9項)。水道事業者は給水区域内の需要者からの申込みを正当の理由なく拒めない(第15条第1項)。平成28年11月28日の厚生労働省水道課長通知の要旨(法務省ガイドライン掲載):承諾書の提出が無いことは給水義務を解除する正当の理由に当たらない。
補足:東京都水道局は、メーター3個以上の私道に都の負担で配水管を布設する事業(私道所有者全員の承諾書が着手の条件)と、2個以下・承諾が得られない私道での給水管ステンレス化工事(所有者の依頼書と掘削の理解が前提)を実施。
共有私道の工事に必要な同意の数え方
1筆の私道を持分で共有している共同所有型私道。相互持合型には使えない
民法第249条、第251条、第252条、第898条第2項
保存行為は単独(第252条第5項)。管理に関する事項と軽微変更は持分の過半数(第252条第1項・第251条第1項)。著しい変更は全員の同意(第251条第1項)。自分の給水管・排水管を私道の下に通す工事は持分に応じた使用として単独(法務省ガイドライン事例11・19)。舗装は軽微変更=過半数(事例5)。区の公共下水管の新設は管理=過半数(事例23)。
補足:所在等不明共有者・賛否不明共有者がいるときは裁判所の決定を得てその共有者以外で決められる(第251条第2項・第252条第2項)。遺産共有なら持分は法定相続分を基準(第898条第2項)。
位置指定道路など私道の変更・廃止
私道の所有者が道を廃止・変更しようとするとき
建築基準法第45条第1項
私道の変更または廃止によって、その道路に接する敷地が接道義務(第43条第1項、または同条第3項に基づく条例)に抵触することになる場合、特定行政庁はその変更・廃止を禁止し、または制限することができる。
補足:行政が私道の所有者に対して行う制限で、通行する人に私法上の通行権を与える条文ではありません。通行妨害に関する裁判例は原文を確認できなかったため引用していません。
どの決まりにも共通するのは、「損害が最も少ない場所と方法を選ぶ」「事前に知らせる」 「実際に生じた損害には償金や補償を払う」の三つです。承諾書は、この三つを相手と 先に合意しておくための紙にすぎません。無いときは、条文のとおりに一つずつ 進めることになります。当社が買主になる場合は、その全部を当社が引き受けます。
承諾書を取ってから、ではなく、
取れていない今のままでご相談ください。
私道の所有者との話し合い、通知、区や水道局との調整、裁判所の手続は、 買い取ったあとに当社が当社の名前で行います。売主の方にお願いするのは、 手元にある紙をそのまま渡すことと、知っていることを告知書に書くことだけです。 結果として当社にお売りにならなくても構いません。
私道の共有者の一人と、連絡が取れない
共同所有型私道で、自分の給水管・排水管を私道の下に通すだけなら、法務省の事例では他の共有者の同意は要りません(民法第249条第1項・下水道法第11条第1項)。舗装や公共下水管の設置など過半数で決める工事は、必要な調査を尽くしても所在が分からない共有者について裁判所の決定を得て、その人を除いた持分の過半数で決められます(第252条第2項第1号)。相互持合型でその人の筆の下を掘る必要があるなら、第213条の2の通知を公示による意思表示(第98条)で行います。当社は、登記と住民票の調査から裁判所の手続まで、買い取ったあとに当社の名前で行います。空き家の放置の記事に書いた不在者財産管理人・所有者不明土地管理人の選任も、必要なら使います。
私道の所有者から「承諾料を払え」と言われている
第213条の2の設備設置権が成立する場合、いわゆる承諾料に応ずる義務はない、と法務省は明記しています。支払う根拠があるのは、工事で一時的に土地を使ったことによる実損害と、設備の設置で土地が継続的に使えなくなる損害に対する償金(同条第4項・第5項)で、地下に導管を通して地上の利用を制限しないなら損害が認められないことがある、というのが法務省の説明です。ただし個別の私道で権利が成立するか、損害がいくらかを当社が判定することはできません。相場も書きません。当社が買主になる場合は、この交渉を売主の方に代わって当社が引き受け、支払う必要のある償金があれば当社が負担します。
承諾書はあるが、亡くなった親の名前宛てで、相手も先代のまま
承諾書は当事者間の契約なので、宛名と文言(「承継人を含む」の有無)と、承諾した側がいまも私道の所有者かどうかで、効き方が変わります。そのままお預かりします。効かない場合でも、第213条の2と下水道法第11条は土地の所有者に法律が与える権利なので、買主である当社に備わります。承諾書を取り直していただく必要はありません。告知書には「承諾書あり(宛名は前所有者)」と事実を書いていただければ足ります。
自分が私道の持分を持っている側で、隣の家から掘削の承諾を求められた
第213条の2の要件が満たされていれば、設置を拒む法律上の根拠はなく、承諾料を求める根拠もありません。受け取れるのは工事の実損害と設置部分の継続的な使用の損害に対する償金です。工事の前には目的・場所・方法の通知を受ける権利があり(第3項)、住家には承諾なしに立ち入られません(第4項・第209条第1項ただし書)。共同所有型の私道なら、自分の持分の過半数の決定なしに舗装の変更などをされない権利もあります(第252条第1項)。また、その私道が不特定多数の人の利用に供されているなら、申告によって固定資産税・都市計画税が非課税になる場合があります(地方税法第348条第2項第5号・東京都主税局の要件は本文06)。当社は、私道の持分だけの買取のご相談もお受けしています。
前の道が私道か公道かも、よく分からない
調べ方の記事の手順で、区の建築指導課の道路の図面(42条のどの道路か)、私道部分の登記事項証明書と公図を取ります。私道であっても位置指定道路や2項道路なら接道に使え、道路でない通路なら建て替えには第43条第2項の許可が要ります。私道の権利の話(本記事)と、道路の種類の話(未接道の買取ページ)は別々に確かめる必要があります。当社は査定の一部としてこの三つの書類を取り寄せ、結果をお渡しします。
隣の敷地の排水管につないで下水を流している(他人の設備を使っている)
他人の設置した排水設備を使用しなければ公共下水道に流入させることが困難なときは、その使用が下水道法第11条第1項で認められ、利益を受ける割合に応じて設置・改築・修繕・維持の費用を負担します(第2項)。給水管やガス管なら第213条の2の設備使用権で、使用開始の損害に償金(第6項)、費用は利益の割合で負担(第7項)です。売るときには、どの管がどこを通って誰の設備につながっているかを告知書と重要事項説明(宅地建物取引業法第35条第1項第4号)で明らかにします。当社は、区の下水道台帳と水道局の給水装置の図面でこれを確かめます。
再建築不可という制度そのものの説明、査定で見ている五つの点、買取までの流れは再建築不可物件の買取ページに、前の道が建築基準法上の道路に当たるかどうか(42条の6類型・位置指定道路・45条)と 地役権の基本は未接道の土地・建物の買取ページに、竿の部分が他人の土地だったときの囲繞地通行権と建て替えの関係は旗竿地(路地状敷地)の買取ページにまとめています。
住宅ローンが原則使えず買主が現金の個人か業者になる理由と、私道負担の重要事項説明は売れない理由の記事に、前の道と私道の登記を役所と法務局の書類で確かめる手順は調べ方の記事に、共有物の保存・管理・変更の三つの箱と所在等不明共有者の手続は共有の記事に、隣地との境界と越境の片づけ方は境界と越境の記事に、私道の持分にかかる固定資産税は固定資産税の記事にまとめています。
相続が起きたあとの手続は相続の記事に、所在の分からない所有者に対する不在者財産管理人・所有者不明土地管理人の仕組みは空き家の放置の記事に、名義のご本人がご自分で判断できなくなっているときは成年後見の記事に、建物が登記されていないときは未登記の記事に、土地が借地で地主の承諾が要るときは借地の記事に、登記簿に古い抵当権が残っているときは古い抵当権の記事に、承諾書が無いことを告知書にどう書き、売ったあとの責任がどう決まるかは売ったあとの責任の記事にまとめています。
直せる範囲の線引きはリフォームの記事に、売ったときの税は売ったときの税金の記事に、売らずに貸す案は貸したほうがいいのかの記事に、取り壊して国に引き取ってもらう道は国庫帰属の記事に、貸家や、親族が家賃なしで住んだままの家を売るときの決まり(賃貸借・使用貸借)は住んだまま売る記事に、私道に面した家を壊すと決める前に確かめること(壊すと建てられない条文・解体の届出と石綿の調査・税)は解体して更地にするかの記事に、相続人の一人と連絡が取れないときの居場所の辿り方と家庭裁判所・地方裁判所の手続は相続人と連絡が取れないときの記事に、がけや古い擁壁に接する家の建て替えの条件(東京都のがけ条例)と区の助成はがけ・擁壁の記事にまとめています。
区ごとの建て替えの許可制度、細街路の拡幅や私道の整備に関する区の窓口は、足立区・葛飾区・北区・板橋区・荒川区・墨田区のページにまとめています。通れる・掘れるという民法の話と、建て替えられるという 建築基準法の話は、別々に確かめる必要があります。
私道の通行・掘削の承諾についての Q&A
買取のご相談の中で、実際によくいただくご質問をまとめました。 いずれも制度の一般的な説明です。個別の私道で権利が成立するかどうか、 償金がいくらかの判断は、弁護士へご確認ください。
このページについて
- 作成・運営
- 株式会社First Realty
- 代表者
- 代表取締役 野口 勇
- 宅地建物取引士
- 野口 勇(登録番号 第261304583号)
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- 03-6821-4617(10:00 – 19:00/定休 火曜・水曜)
- 加盟団体
- 公益社団法人 東京都宅地建物取引業協会/公益社団法人 全国宅地建物取引業保証協会
- 参照した運用の資料
- 法務省「所有者不明私道への対応ガイドライン(第2版)」(令和4年6月)・ 法務省民事局/国土交通省「共有私道における排水設備の円滑な設置等の促進に関する事例勉強会」資料・ 東京都水道局・東京都下水道局・東京都主税局・大田区の公開ページ
- 条文・資料の確認日
- 2026年9月21日
- 最終更新
このページが参照した公開情報
本文の条番号は、以下の公開情報を2026年9月21日に確認して記載しています。 民法は2023年4月1日施行の改正で相隣関係と共有の規定が変わっているため、 改正前(2023年3月31日時点)の条文も取得して確かめました。民法は2026年6月24日にも 改正されているため、このページで引用した条文に変更が無いことを改正前の版と 突き合わせて確認しています。制度・様式・運用は更新されますので、お確かめのうえ ご利用ください。このページは制度の一般的な説明であり、個別の私道について通行権や 設備設置権が成立するかどうか、償金がいくらかを判定するものではありません。裁判例は、 裁判所のサイトで原文を確認できたものが無かったため引用していません。
- 民法(明治二十九年法律第八十九号)|e-Gov法令検索
- 民法 2023年3月31日時点の条文(改正前の第209条・第251条・第252条/第213条の2新設前)|e-Gov法令検索
- 下水道法(昭和三十三年法律第七十九号)|e-Gov法令検索
- 水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)|e-Gov法令検索
- 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)|e-Gov法令検索
- 不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)|e-Gov法令検索
- 宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)|e-Gov法令検索
- 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)|e-Gov法令検索
- 共有私道の保存・管理等に関する事例研究会(第2期)|法務省
- 複数の者が所有する私道の工事において必要な所有者の同意に関する研究報告書〜所有者不明私道への対応ガイドライン〜(第2版・令和4年6月)|法務省(PDF)
- 所有者不明私道への対応ガイドライン(第2版)について(概要)|法務省民事局(PDF)
- 民法改正と「共有私道ガイドライン」の改訂について(資料2-2)|法務省民事局(PDF・国土交通省サイト掲載)
- 共有私道における排水設備の設置等に係る現状について(資料2-1)|国土交通省(PDF)
- 私道に配水管を入れる工事を行っています|東京都水道局
- 私道に配水管を入れる工事を行うためには、「私道内配水管布設承諾書」が必要です|東京都水道局
- 私道内の給水管をステンレス管へ取り替える工事を行っています|東京都水道局
- 私道の下水道管(私道排水設備)に関する疑問・トラブル・お困りごとについて|東京都下水道局
- 私道に下水道を引くときは(私道排水設備助成)|大田区
- 道路非課税の申告をお願いしています|東京都主税局
- 道路に対する非課税のご案内(23区内に土地をお持ちの方へ)|東京都主税局(PDF)
当社は不動産の買取業者であり、法律相談を行う立場にも、訴訟を代理する立場にも ありません。通行権・設備設置権の成否と償金の見通しは弁護士へ、地役権の登記は 司法書士へ、私道の筆界は土地家屋調査士へ、道路の種類と建て替えの可否はお住まいの 区の建築課へ、給水管・排水管の位置は水道局と区の下水道の窓口へご確認ください。 当社にできるのは、現況のままの買取価格を、私道について当社が引き受ける段取り・ 建て替えの見立て・引渡しの状態と同じ書面でお出しすることと、査定の過程で確認した 登記・公図・道路・給排水の資料をお渡しすることです。その資料は、他の買主や弁護士と お話しになるときに、そのままお使いいただけます。
承諾書が取れていない今のままで、ご相談ください
私道の登記・公図・道路の種類は当社で取り寄せます。担当者より1営業日以内にご連絡いたします。査定・ご相談は完全無料です。
承諾書が無くても、
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私道の共有者と連絡が取れなくても、承諾料を求められていてもご相談いただけます。 通知も、区や水道局との調整も、買い取ったあとに当社が行います。 査定は完全無料、秘密厳守です。
宅地建物取引業 東京都知事免許(1)第113689号
