
増築した家・検査済証のない家は、
違反建築として売れなくなるのか
既存不適格と違反建築は別の言葉です。 どちらに当たるか、命令は誰に来るのか、実数はどれくらいかを、条文と国土交通省・東京都の資料で整理しました。
宅地建物取引業 東京都知事免許(1)第113689号
「違反建築」と「既存不適格」は、
同じ古い家の中に同居していることがあります。
親が昭和の終わりに建てた木造2階建て。あとから台所の裏に一部屋を足し、2階にも増やした。 検査済証は見当たらず、図面も無い。仲介会社に相談したら「違反建築ですから、うちでは扱えません」と言われた——。 木造密集地域の再建築不可の家では、よくあるご相談です。
先に整理しておきます。再建築不可であること自体は、建てた当時に適法なら「既存不適格」(建築基準法第3条第2項)で、違反ではありません。検査済証が無いことも、違反と同じ意味ではありません。平成10年度の完了検査の実施率は約38%で、無いほうが普通でした。 一方で、確認が要る増築を確認なしでした部分は違反建築で、既存不適格にはなりません(第3条第3項)。そして是正命令の相手には「所有者」が入っていますから(第9条第1項)、買った人にも命令は及びます。これが、仲介で買主が付きにくい本当の理由です。
このページでは、この場面で動く決まりを六つに整理し、6区の防火地域・準防火地域の面積と、全国と東京都の是正の実数を表にしました。条文は2026年10月5日にe-Gov法令検索で本文を取得して突き合わせ、統計は国土交通省・東京都・国土地理院の公開資料を同日に読みました。 先に申し上げておきます。当社は不動産の買取業者で、個々の家が違反か既存不適格かの判定、是正に要る費用の見込み、建蔽率の最終的な計算はしません。当社がするのは、分かっていることと分からないことを書き分けた査定書をお出しし、 違反建築の所有者になることを引き受けたうえで買い取ることです。
「違反建築だから売れない」の前に、
どの条文が、どの部分に、何を求めているかの話をします。
いずれもe-Gov法令検索の条文本文と、国土交通省・東京都・国土地理院・区の公開資料で確認した内容です。 個々の家のどの部分が違反に当たるか、是正にいくらかかるかを判定するものではありません。 判定は区の建築課(特定行政庁)・建築士へご確認ください。 ここでは、どの決まりが、どの場面で、誰に何を求めているのかまでをお伝えします。
「既存不適格」と「違反建築」は別の言葉です。再建築不可の家は、建てた当時に適法なら既存不適格であって、違反ではありません
建築基準法第3条第2項は、法律や条例の規定の施行・適用の際に現に存する建築物やその敷地が、その規定に適合しない場合は、その規定を適用しない、と定めています。これが「既存不適格」です。昭和の時代に適法に建った家が、その後の都市計画区域の指定や道路の扱いの変更で今は第43条第1項の接道を満たさない——再建築不可の多くはこの形で、建物も敷地も違反ではありません。一方、「違反建築」は、建てたとき・工事をしたときの規定に反している建築物のことで、第9条の措置の対象です。この二つは、同じ古い家の中に同居することがあります。第3条第3項は、第2項の保護を受けない場合を列挙しています。第1号は、改正の際に、改正前の規定にすでに違反していた建築物——つまり、建てたときから違反だったものは、法律が変わっても既存不適格にはなりません。第3号・第4号は、規定の施行・適用の後に工事に着手した増築・改築・移転・大規模の修繕・模様替に係る建築物やその部分です。昔から建っている母屋は既存不適格、あとから確認を受けずに足した部分は違反、という家が木造密集地域にはあります。
当社の査定書は、「再建築不可である」ことと「増築部分が無確認である」ことを一つの欄に混ぜて書きません。どの部分が第3条第2項の保護を受け、どの部分がそうでないかを、確かめられた範囲で書き分けます。
根拠:建築基準法第3条第2項・第3項第1号・第3号・第4号、第9条第1項、第43条第1項
検査済証が無いことは、違反建築と同じ意味ではありません。昔は完了検査を受けない家のほうが多く、木造2階建てには使用制限もありませんでした
完了検査は、確認を受けた工事が完了したときに建築主が申請し(第7条第1項)、完了した日から4日以内に申請が届くようにしなければならない(同条第2項)義務です。検査に合格すると検査済証が交付されます(同条第5項)。ただ、この義務が守られてきた実態は、年代でまったく違います。平成17年度の国土交通白書は、完了検査の実施率が平成10年度の約38%から平成16年度の約73%に上昇した、と書いています。つまり平成10年度には、確認を受けた建物の6割以上が検査済証を持たずに完成していました。令和5年度は、建築確認47万5,601件に対して検査済証の交付が46万2,296件です(国土交通省の統計)。再建築不可の家の多くが建った昭和から平成の初めは、検査済証が無いほうが普通だった、ということです。もう一つ、2025年3月31日時点の第7条の6を確かめました。検査済証の交付を受けるまで建築物を使ってはならないという使用制限は、当時の条文では第6条第1項「第一号から第三号まで」の建築物の新築が対象で、木造2階建ての住宅(当時の第4号)は含まれていませんでした。検査済証が無いまま住んできたこと自体は、この条文には触れていません。検査を受けなかった事実と、建物が違反である事実は別で、後者は調べなければ分かりません。検査済証の有無は、区の建築確認台帳の記載事項証明で確かめられます(調べ方の記事)。適合しているかどうかを調べる手順は、国土交通省が令和6年12月に策定した「既存建築物の現況調査ガイドライン」に、建築士が行う調査として示されています。検査済証のない建築物についての以前のガイドライン(平成26年7月)は、令和7年4月1日にこのガイドラインへ統合されました。
当社は、検査済証が無いことを理由に査定をお断りしません。確認済証・検査済証・台帳の記載事項証明のどれが取れてどれが取れないかを、査定書の前提欄にそのまま書きます。現況調査の費用を売主側で負担いただく前提も置きません。
根拠:建築基準法第7条第1項・第2項・第5項、第7条の6第1項(2025年3月31日時点の条文を含む)/平成17年度国土交通白書「建築行政の推進」/国土交通省「建築基準法施行関係統計報告集計結果表(令和5年度集計)」・「既存建築物の活用の促進について」
増築は「建築」で、確認が要ります。「10㎡以内なら要らない」は防火地域・準防火地域の外だけの例外で、6区では両地域が区の面積の8〜9割を超えます
増築は建築基準法のいう「建築」に含まれます(第2条第13号)。都市計画区域内の建築物は、規模を問わず、建築しようとする場合に確認を受けなければなりません(第6条第1項)。例外が同条第2項で、「防火地域及び準防火地域外において」増築・改築・移転をする場合で、その部分の床面積の合計が10平方メートル以内のときは確認が要らない、と定めています。この「外において」が見落とされがちです。国土交通省の令和6年都市計画現況調査(令和6年3月31日現在)で6区の防火地域と準防火地域の面積を取り、国土地理院の面積調で区の面積と並べたのが下の表です。合計は、葛飾区で区の面積の約82%、他の5区では約89〜95%を占めます。板橋区は「荒川及び新河岸川を除き、防火地域又は準防火地域の指定があります」と区のページに明記しています。残りの面積には河川や公園のような建物の建たない土地が含まれますから、木造の住宅が建つ市街地で両地域の外に当たる場所は、6区では例外的です。「10㎡以内の物置だから」「サンルームだから」で確認を省くと、第6条第1項の違反になります(第99条第1項第1号=1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)。そして再建築不可の敷地では、増築の確認申請で第43条第1項の接道が正面から審査されます(既存不適格の増築に認められている緩和の中に、第43条第1項についての定めは置かれていません。リフォームの記事)。
当社は、増築部分がある家も現況のまま買い取ります。増築の時期・大きさ・確認の有無は、分かる範囲で正直にお聞かせください。隠されたまま後で分かるより、最初から分かっているほうが、価格も手続も安定します。
根拠:建築基準法第2条第13号、第6条第1項・第2項、第43条第1項、第86条の7第1項、第99条第1項第1号/国土交通省「令和6年都市計画現況調査」(13)防火地域及び準防火地域/国土地理院「令和8年全国都道府県市区町村別面積調」/板橋区「地域地区・促進区域」
違反建築の是正命令の相手には「所有者」が入っています。買った人にも及びます。ただし実数は、令和5年度の全国で行政指導6,215件に対し命令9件です
第9条第1項は、特定行政庁が、違反した建築物やその敷地について、建築主・工事の請負人・現場管理者、または建築物や敷地の「所有者、管理者若しくは占有者」に対し、工事の施工の停止を命じ、または相当の猶予期限を付けて、除却・移転・改築・増築・修繕・模様替・使用禁止・使用制限その他の是正に必要な措置を命ずることができる、と定めています。建てた人だけでなく、今の所有者が相手です。東京都の多摩建築指導事務所のページは、「違反建築物を取得した場合には、新たに所有者になった人が、違反を是正しなければなりません」と明記しています。買った人が命令の相手になり得る——これが、仲介で個人の買主が付きにくい理由であり、金融機関が検査済証の提出を求める理由でもあります(同じページに、融資の際に金融機関から検査済証の提出を求められるなど売買・流通に大きな支障がある、との記述があります。融資の可否は各金融機関の審査によります)。手続も条文にあります。命令の前に、措置と事由を記載した通知書を交付して意見書を出す機会を与えなければならず(第2項)、通知を受けた人は3日以内に公開による意見の聴取を請求できます(第3項)。緊急の場合には仮の使用禁止・使用制限の命令ができ(第7項)、命令をしたときは標識の設置などで公示し(第13項)、履行されなければ行政代執行ができます(第12項)。命令に違反すると3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金です(第98条第1項第1号)。そして第9条に、違反から何年経てば命令できなくなるという定めはありません。一方で、実数は見ておく価値があります。国土交通省の統計では、令和5年度に全国の特定行政庁が行政指導をした建築物は6,215件、第9条の命令をした建築物は9件、是正を認めた建築物は2,226件でした。東京都は806件・1件・295件です。違反が分かれば直ちに除却を命じられる、という運用ではなく、指導で是正を求めるのが大半です。ただし「放っておけば消える」仕組みでもありません。
当社が買い取れば、第9条の命令の相手は当社になります。是正に要る費用や、是正できない場合の使い方の制約は、当社が引き受ける前提で価格に織り込みます(具体の金額は家ごとに違うため、このページには書きません)。売主が指導を受けている最中でも、ご相談をお断りしません。
根拠:建築基準法第9条第1項〜第3項・第7項・第12項・第13項、第98条第1項第1号/国土交通省「建築基準法施行関係統計報告集計結果表(令和5年度集計)」3・違反建築物に対する是正措置、都道府県別の表/東京都多摩建築指導事務所「違反建築物等の取締り」
木造密集地域で多いのは、確認申請の手続と建蔽率です。昔の図面どおりでも、今の計算では超えていることがあります
同じ統計の違反事項別の件数(全国・令和5年度)では、是正が完了した件数が多い順に、確認申請の手続(第6条)815件、防火地域・準防火地域内の建築物の構造(第61条)141件、建蔽率(第53条)96件、接道(第43条)40件、容積率(第52条)36件です(下の表)。木造密集地域の古い家に重なる項目が並びます。建蔽率は、建築面積の敷地面積に対する割合で、用途地域ごとに上限が決まっています(板橋区では30〜80%の指定)。再建築不可の家で建蔽率の超過が起きやすいのには、計算の仕組みの理由があります。前面が幅4m未満の2項道路なら、道路の中心線から2m(がけ地等では4m)の線が道路の境界とみなされ、その内側は敷地面積に算入されません(建築基準法施行令第2条第1項第1号)。昔の図面で敷地に入っていた部分が今の計算では外れ、分母が小さくなった結果、同じ建物でも建蔽率が上がります。これが違反なのか既存不適格なのかは、「いつ」「どの規定で」超えたかで分かれます。都市計画の決定や変更で制限の数値が変わった結果として従前の制限に違反していたものは、第3条第3項第2号により既存不適格の保護を受けません(改正前から違反だったものは保護されないという、第1号と同じ考え方です)。逆に、適法に建ったあとで数値が厳しくなったなら既存不適格です。もう一つ、第10条第3項は、既存不適格の建築物であっても、著しく保安上危険または衛生上有害と認めるときは除却等を命じられると定めています。既存不適格なら何も言われない、ではありません。
当社は査定の前に、登記の床面積・固定資産税の課税明細の床面積・現況の三つを比べ、2項道路のセットバックを引いた敷地面積で建蔽率を計算します。結果は数字と根拠を添えて書面でお渡しします。違反か既存不適格かの最終判断は区(特定行政庁)のもので、当社が代わりに判定することはしません。
根拠:建築基準法第3条第3項第2号、第10条第3項、第42条第2項、第52条、第53条/建築基準法施行令第2条第1項第1号/国土交通省「建築基準法施行関係統計報告集計結果表(令和5年度集計)」2・違反建築物の違反事項別件数の推移/板橋区「地域地区・促進区域」
売るときに動く決まりは三つ。増築の登記は1か月、税は登記が無くても来ている、そして告知。重要事項説明は「制限の内容」を説明する仕組みで、「この建物が違反か」は項目にありません
第一に登記です。床面積は建物の登記事項で、増築で変わったときは、変更があった日から1か月以内に表題部の変更の登記を申請しなければなりません(不動産登記法第51条第1項)。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料です(第164条第1項)。これは確認を受けた増築かどうかとは別の決まりで、登記の手順と税の届出は未登記の記事にまとめました。第二に税です。固定資産税は登記ではなく家屋の実態に課されるため、登記していない増築部分にも課税されていることがあります(同じ記事)。第三に告知です。宅地建物取引業者が仲介して個人に売るとき、買主に説明しなければならない重要事項のうち「法令に基づく制限」は、宅地建物取引業法施行令第3条第1項第2号が列挙する建築基準法の条文——第43条・第52条・第53条・第61条など——の制限の内容を説明する仕組みです。「この建物がその制限に違反しているか」そのものを説明する項目は、列挙にありません。だからこそ、無確認の増築や是正の指導を受けた事実は、売主が告知書で伝える事柄になります。国土交通省の解釈・運用の考え方が示す告知書の記載事項の例には「増改築及び修繕の履歴」が挙がっています。知りながら告げなかった事実には免責特約が効かない(民法第572条)ことを含め、売ったあとの責任の仕組みは契約不適合責任の記事にまとめました。
当社が買主のときは、増築・無確認・指導の有無を書面で共有いただければ、その事実を契約に織り込んだうえで、売主の担保責任を免責する条項で整理します。知っていることを書いていただくことが、売主を守るいちばん確かな方法です。
根拠:不動産登記法第44条第1項第3号、第51条第1項、第164条第1項/宅地建物取引業法第35条第1項第2号・第47条第1号、同法施行令第3条第1項第2号/民法第572条/国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」
「10㎡以内なら確認は要らない」が、
6区でほぼ使えない理由を、面積で示します。
建築基準法第6条第2項の例外は「防火地域及び準防火地域外において」増築する場合に限られます。 国土交通省の令和6年都市計画現況調査(令和6年3月31日現在)の防火地域・準防火地域の決定面積と、 国土地理院の令和8年全国都道府県市区町村別面積調(7月1日時点)の区の面積を2026年10月5日に並べました。 ご自宅の敷地がどちらの地域に入っているかは、区の都市計画図(用途地域図)で確かめられます。
| 区 | 防火地域 | 準防火地域 | 合計 | 区の面積 | 合計の割合 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 足立区 | 948.5 ha | 3,803.6 ha | 4,752.1 ha | 5,325 ha | 約89% | — |
| 葛飾区 | 313.6 ha | 2,536.8 ha | 2,850.4 ha | 3,480 ha | 約82% | 区の面積は参考値(埼玉県三郷市との境界の一部が未定) |
| 北区 | 316.1 ha | 1,519.9 ha | 1,836.0 ha | 2,061 ha | 約89% | — |
| 板橋区 | 355.4 ha | 2,671.0 ha | 3,026.4 ha | 3,222 ha | 約94% | 区は「荒川及び新河岸川を除き、防火地域又は準防火地域の指定があります」と明記 |
| 荒川区 | 323.8 ha | 645.3 ha | 969.1 ha | 1,016 ha | 約95% | — |
| 墨田区 | 841.8 ha | 399.2 ha | 1,241.0 ha | 1,377 ha | 約90% | 6区で唯一、防火地域のほうが準防火地域より広い |
出典:国土交通省「令和6年都市計画現況調査」(13)防火地域及び準防火地域 都市別内訳表(令和6年3月31日現在・決定面積)/国土地理院「令和8年全国都道府県市区町村別面積調」(7月1日時点。区の面積はkm²をhaに換算し、1ha未満を四捨五入)/板橋区「地域地区・促進区域」(2025年3月13日更新)。 「合計の割合」は当社が二つの資料から計算したもので、区の面積には河川や公園など建築物の建たない土地が含まれます。 両地域の指定は変更されることがあるため、確認日を明記しています。
「違反なら即、除却」でも
「放っておけば消える」でもない数字です。
国土交通省が特定行政庁から集計している「建築基準法施行関係統計報告集計結果表」の令和5年度集計を2026年10月5日に読みました。件数は、違反を確知した年度にかかわらず、令和5年度内に行政指導・命令・是正の確認を行った建築物の数です。 年度ごとに新たに見つかった違反の数ではありません。
| 令和5年度 | 全国 | 東京都(特別区・市・都の特定行政庁の合計) |
|---|---|---|
| 行政指導をした建築物 | 6,215件 | 806件 |
| 第9条の命令をした建築物 | 9件 | 1件 |
| 特定行政庁が是正を認めた建築物 | 2,226件 | 295件 |
| 違反事項(全国・令和5年度・抜粋) | 建築基準法 | 第9条の命令の対象になった件数 | 是正が完了した件数 |
|---|---|---|---|
| 確認申請の手続(無確認の建築・増築) | 第6条 | 5件 | 815件 |
| 構造耐力 | 第20条 | 1件 | 165件 |
| 敷地と道路の関係(接道) | 第43条 | 0件 | 40件 |
| 容積率 | 第52条 | 0件 | 36件 |
| 建蔽率 | 第53条 | 1件 | 96件 |
| 防火地域・準防火地域内の建築物の構造 | 第61条 | 1件 | 141件 |
| 全項目の合計(その他を含む) | — | 14件 | 3,040件 |
出典:国土交通省住宅局建築指導課「建築基準法施行関係統計報告集計結果表(令和5年度集計)」令和7年11月19日版——2・違反建築物の違反事項別件数の推移、3・違反建築物に対する是正措置、令和5年度 違反建築物に対する是正措置・行政指導件数(都道府県別)。 参考として、平成17年度国土交通白書は、違反建築物の件数が平成10年度の12,283件から平成16年度の7,782件に減少したと記しています。 違反建築防止週間(毎年10月15日〜21日)には、都内の各特定行政庁が一斉公開建築パトロールを行います(令和7年度は10月17日・東京都の報道発表)。
六つの手続を、
集める・整理する・確かめる・決める・書く・引き継ぐの順に並べます。
以下は、条文と国土交通省・区の案内に載っている決まりだけを2026年10月5日に確認して並べたものです。 是正の工事費や現況調査の費用の見込み、手続全体にかかる期間の見込みは含めていません。
書類を集めて、三つの床面積を比べる
最初に(ご相談の前でも)
建築基準法第12条第8項/不動産登記法第44条第1項第3号
確認済証(古い家では確認通知書)・検査済証・図面が手元に無ければ、区の建築確認台帳の記載事項証明で、確認を受けた事実と検査済証の有無を確かめます(調べ方の記事)。登記事項証明書の床面積、固定資産税の課税明細の床面積、現況の三つを並べると、増築の有無と大きさの見当がつきます。
補足:当社は、台帳の記載事項証明・登記事項証明書・公図・道路の種別の調査を当社の負担で取り寄せます。
既存不適格か違反かを、部分ごとに整理する
書類が揃ってから
建築基準法第3条第2項・第3項/同法施行令第137条(基準時)
母屋が建った時期・確認の有無、増築の時期・確認の有無、前面道路の種別と中心線からの後退、用途地域の数値の変遷を並べ、どの部分がいつの規定に対して適合・不適合・違反なのかを整理します。判定の主体は区(特定行政庁)で、必要なら建築士に現況調査を依頼します(国土交通省「既存建築物の現況調査ガイドライン」)。
補足:当社の査定には、この調査を売主側で済ませていただく必要はありません。仲介で個人の買主に売る場合は、買主側から求められることがあります。
区から指導を受けている場合は、内容を書面で確かめる
手紙や訪問があったとき
建築基準法第9条第1項・第2項、第12条第5項
行政指導の段階か、第9条第2項の通知書(命じようとする措置・事由・意見書の提出期限が書かれたもの)が交付された段階かで、手続の進み方が違います。通知書には意見書を出す機会があり、3日以内に公開による意見の聴取を請求できます。特定行政庁は所有者等に報告を求めることもできます(第12条第5項)。
補足:指導中の家でも当社は査定を行います。区とのやりとりの書面は、そのまま査定の前提に書き写します。
増築部分の登記を整えるかどうかを決める
売り方を決める前
不動産登記法第51条第1項・第164条第1項
表題部の変更の登記は1か月以内の申請義務で、怠ると10万円以下の過料の定めがあります。登記を整えずに売ることが禁じられているわけではなく、当社が買主の場合は現況のまま引き受けます。仲介で個人に売る場合や、買主が融資を使う場合は、登記と現況の一致を求められることが多くなります。
補足:登記の申請は土地家屋調査士の領分です。手順と税の届出は未登記の記事にまとめました。
告知書に、増改築と指導の事実を書く
契約の前
宅地建物取引業法第47条第1号/民法第572条
増改築の履歴、確認の有無、区からの指導の有無は、売主が知っていることとして告知書に書きます。知りながら告げなかった事実には、担保責任を負わない特約が効きません。当社が買主のときは、告知された事実を前提に免責条項を置きます。
補足:告知書の記載事項の例と免責の仕組みは契約不適合責任の記事にまとめました。
決済後は、当社が所有者として是正や使い方を決める
引渡しのあと
建築基準法第9条第1項
引渡し後の建築物の所有者は当社ですから、第9条の命令や指導の相手は当社になります。増築部分を除却するか、確認を受け直せる形に改めるか、現況のまま使うかは、当社が区と相談して決めます。
補足:売主に是正の工事をお願いしてから買い取る、という進め方はしません。
どの手続にも共通するのは、「分かっていることと分からないことを、書面で分けておく」ことです。 当社の査定書は、母屋・増築部分・敷地のそれぞれについて、確認の有無・検査済証の有無・適否の見立てを書き分けます。費用はかかりません。
書類が無くても、指導を受けていても、
ご相談をお断りすることはありません。
違反か既存不適格かの判定は区(特定行政庁)の、現況調査は建築士の、登記は土地家屋調査士の領分で、当社はその代わりをしません。 当社がするのは、違反建築の所有者になることを引き受ける買主として、分かっていることを書き分けた買取価格を書面でお出しすることです。 結果として当社にお売りにならなくても構いません。
親が建てた家で、増築したと聞いているが書類が何も無い
区の建築確認台帳の記載事項証明で、母屋の確認の事実と検査済証の有無が分かります。増築について確認の記録が無ければ無確認の可能性が高く、登記と課税明細の床面積の差から大きさの見当がつきます。当社は、それらを当社の負担で取り寄せたうえで、「母屋=既存不適格、増築部分=無確認」という前提を査定書に書き分けます。書類が無いことを理由にお断りすることはありません。
仲介会社に「違反建築だから扱えない」と言われた
仲介で個人に売る場合、買主は第9条の命令の相手になり得る所有者になり、融資では検査済証の提出を求められることがあります(東京都の資料)。だから仲介では買主が付きにくい、というのが実情です。当社は自ら所有者になる買主ですから、命令の相手になることを前提に価格を決めます。「扱えない」と言われた家こそ、当社の査定を一度ご覧ください。
区から是正の指導を受けている
行政指導の段階か、第9条第2項の通知書が交付された段階かを、書面で確かめてください。令和5年度の東京都では、行政指導をした建築物806件に対し命令をした建築物は1件で、指導で是正を求めるのが大半です。当社は、指導中の家も査定し、区とのやりとりを引き継ぐ前提で買い取ります。是正の工事をしてから売る必要はありません。
増築はしていない。検査済証が無いだけ
検査済証が無いことは違反と同義ではありません。平成10年度の完了検査の実施率は約38%で、木造2階建てには当時、検査済証の交付を受けるまでの使用制限もありませんでした。確認を受けた事実が台帳で確かめられれば、再建築不可の家としての既存不適格の扱いで査定します。
これから増築やリフォームをしようと思っていた
再建築不可の敷地では、増築の確認申請で接道が正面から審査され、10㎡以内の例外は防火地域・準防火地域の外でしか使えません。6区では両地域が区の面積の8〜9割を超えます。どこまでの工事に確認が要るか、確認が要る工事で何が審査されるかは、リフォームの記事にまとめました。直してから売るか、そのまま売るかを比べる材料として、先に査定をお使いください。
再建築不可という制度そのものの説明、査定で見ている五つの点、買取までの流れは再建築不可物件の買取ページに、道路の種類と2項道路のセットバック、建て替えの認定・許可(第43条第2項)の見込みは未接道の土地・建物の買取ページに、路地状の敷地と建蔽率の数え方は旗竿地の買取ページにまとめています。
どこまでの工事に確認が要るか(増築が別扱いになる理由・2025年4月からの区分)はリフォームの記事に、既存不適格の建物の工事に現行法が及ぶ仕組みと住宅ローンの事情は売れない理由の記事に、確認済証・検査済証・台帳の記載事項証明・指定道路図の取り方と区ごとに遡れる年は調べ方の記事に、増築部分の表題部の変更の登記と税の届出は未登記の記事に、告知書と免責特約(知りながら告げなかった事実には効かないこと)は売ったあとの責任の記事にまとめています。
境界からの距離と越境は境界と越境の記事に、壊してから売るかどうかは解体して更地にするかの記事に、がけや古い擁壁(検査済証のない擁壁)はがけ・擁壁の記事に、相続が起きた直後に確かめることは相続の記事にまとめています。
区ごとの建て替えの許可制度、不燃化特区、区役所の窓口は、足立区・葛飾区・北区・板橋区・荒川区・墨田区のページにまとめています。
増築した家・検査済証のない家と違反建築についての Q&A
買取のご相談の中で、実際によくいただくご質問をまとめました。 いずれも制度の一般的な説明です。個々の家のどの部分が違反に当たるか、是正にいくらかかるかは、 区の建築課(特定行政庁)・建築士へご確認ください。
このページについて
- 作成・運営
- 株式会社First Realty
- 代表者
- 代表取締役 野口 勇
- 宅地建物取引士
- 野口 勇(登録番号 第261304583号)
- 免許
- 宅地建物取引業 東京都知事免許(1)第113689号
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- 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-1-3 アミーホール5F
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- 加盟団体
- 公益社団法人 東京都宅地建物取引業協会/公益社団法人 全国宅地建物取引業保証協会
- 参照した運用の資料
- 国土交通省「建築基準法施行関係統計報告集計結果表(令和5年度集計)」・平成17年度国土交通白書・ 「既存建築物の活用の促進について」・「既存不適格建築物の増築等について」・ 「令和6年都市計画現況調査」・国土地理院「令和8年全国都道府県市区町村別面積調」・ 東京都「違反建築防止週間に『一斉公開建築パトロール』を実施」・東京都多摩建築指導事務所「違反建築物等の取締り」・ 板橋区「地域地区・促進区域」
- 条文・資料の確認日
- 2026年10月5日
- 最終更新
このページが参照した公開情報
本文の条番号・件数・面積は、以下の公開情報を2026年10月5日に確認して記載しています。 このページは制度の一般的な説明であり、個々の家のどの部分が違反に当たるか、是正にいくらかかるか、 建蔽率を超えているかを判定するものではありません。 第7条の6の使用制限の範囲は、2025年3月31日時点の条文をe-Gov法令検索で取得して現行の条文と読み比べました。 違反建築物の売買を扱った裁判例は、原文を確認できていないため書いていません。
- 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)|e-Gov法令検索
- 建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)|e-Gov法令検索
- 不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)|e-Gov法令検索
- 宅地建物取引業法施行令(昭和三十九年政令第三百八十三号)|e-Gov法令検索
- 建築基準法施行関係統計報告集計結果表(令和5年度集計・令和7年11月19日版・PDF)|国土交通省住宅局建築指導課
- 平成17年度 国土交通白書 第II部 第4章「建築行政の推進」|国土交通省
- 既存建築物の活用の促進について(既存建築物の現況調査ガイドライン)|国土交通省
- 既存不適格建築物の増築等について|国土交通省
- 既存不適格建築物に係る指導・助言・勧告・是正命令制度に関するガイドライン(令和元年6月24日・PDF)|国土交通省住宅局建築指導課
- 令和6年都市計画現況調査(令和6年3月31日現在)|国土交通省
- 令和8年 全国都道府県市区町村別面積調(7月1日時点・PDF)|国土地理院
- 違反建築防止週間に「一斉公開建築パトロール」を実施(2025年10月6日 報道発表)|東京都都市整備局
- 違反建築物等の取締り|東京都多摩建築指導事務所
- 地域地区・促進区域(防火地域・準防火地域)|板橋区
当社は不動産の買取業者であり、建築基準法の適合の判定、建築確認・現況調査の代理、登記の申請、法律判断を行う立場にはありません。 違反か既存不適格かの判定は区の建築課(特定行政庁)へ、現況調査は建築士へ、登記は土地家屋調査士へご確認ください。 当社にできるのは、母屋・増築部分・敷地のそれぞれについて分かっていることを書き分けた買取価格を書面でお出しすること、 違反建築の所有者になることを引き受けて買い取ること、 家の側の資料(台帳の記載事項証明・登記事項証明書・公図・道路の種別の調査結果)を当社の負担で揃えることです。
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宅地建物取引業 東京都知事免許(1)第113689号
