
土地は地主のもの、
建物は自分のもの。この形の売り方です。
「実は、土地は借りているんです」。 相続した実家のご相談で、木造密集地域では珍しくない言葉です。 建物は親のもので、土地は近所の地主から何十年も借りてきた。 契約書は見当たらず、地代は手渡しだった。 そして「借地の家は売れない」と、どこかで言われて止まります。
正確ではありません。売れないのではなく、民法第612条が、土地を借りる権利を譲るのに地主の承諾を求めているだけです。承諾が得られないときの道も、借地借家法第19条に用意されています。 ただし、その道には条件があり、地主の側にも手が用意されていて、 そして再建築不可の土地では、承諾が得られても建て替えはできません。
このページでは、知っておきたいことを七つに整理します。条文は2026年9月18日にe-Gov法令検索で本文を取得して突き合わせ、 手続の流れ・期間・費用は東京地方裁判所の案内を同日に本文で確認しました。 そして先に一つ申し上げておきます。当社は、承諾料・更新料・名義書換料の相場をこのページに書いていません。条文に金額の定めが無く、当社が実測した数字も持っていないからです。
承諾の話より先に、
何を売るのかの話をします。
いずれもe-Gov法令検索の条文本文と、東京地方裁判所・国税庁の公開情報で 確認した内容です。個別の借地権の有無や契約の効力、許可の見込みを判定する ものではありません。判断は、弁護士・司法書士・裁判所へご確認ください。 ここでは、どの条文にもとづいて、何が、どういう順番で必要になるのかまでを お伝えします。
売るのは「建物」と「土地を借りる権利」です。止まるのは、地主の承諾のところです
土地が借地の場合、売買の対象は建物の所有権と、その建物のために土地を借りる権利の二つです。借地借家法第2条第1号は、この権利を「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と定め、借地権と呼んでいます。契約書に「賃貸借」とあれば賃借権です。建物のほうは民法第176条により当事者の意思表示だけで所有権が移りますが、賃借権のほうには条文上の関所があります。民法第612条第1項は「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」と定め、第2項は、これに違反して第三者に使用収益させたときは賃貸人が契約を解除できる、としています。つまり「借地は売れない」のではなく、地主(借地権設定者)の承諾を得ずに売ると、買った方が土地を使う根拠を失いかねない、ということです。なお、借地権が地上権である場合は、地上権は物権ですので(民法第265条)、譲渡に土地所有者の承諾を要する旨の条文はありません。どちらなのかは、契約書と、土地の登記事項証明書の権利部(乙区)で確かめられます。
当社は、借地権付きの建物の買取をお受けしています。ただし、地主の承諾が得られるかどうかは、当社が決められることではありません。ですので、実務では「地主の承諾が得られたときに効力が生じる」形で契約を結ぶことになります。承諾のお願いをする前の段階でも、査定と役所調査はお受けしています。先に「この建物と借地権がいくらになるのか」が分かっていれば、地主とのお話し合いに入る価値があるかどうかを判断できます。
根拠:借地借家法第2条第1号/民法第176条、第265条、第612条
承諾がもらえないときの道が、法律に用意されています。ただし、条件があります
地主が承諾しない場合、借地借家法第19条第1項は、裁判所が「借地権設定者の承諾に代わる許可」を与えることができると定めています。条件は、買う方が賃借権を取得しても「借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず」承諾しないこと、です。裁判所は、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、譲渡を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならず(第2項)、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、借地条件の変更を命じたり、許可を「財産上の給付」に係らしめたりすることができます(第1項後段)。世間で「承諾料」と呼ばれているお金の、条文上の姿がこれです。金額は条文に書かれておらず、裁判所は特に必要がないと認める場合を除き、鑑定委員会の意見を聴かなければなりません(第6項)。そしてもう一つ、地主の側にも手が用意されています。裁判所が定める期間内に地主が自ら建物と賃借権を買い取る旨の申立てをしたときは、裁判所は相当の対価を定めてこれを命ずることができます(第3項)。「介入権」と呼ばれる仕組みで、申し立てた側の思いどおりに第三者へ売れるとは限らない、ということです。
ここで一つ、はっきり申し上げておきます。当社は「地主が承諾しないなら裁判所へ」とお勧めする立場にはありません。申立ては、地主との関係を変えます。ご相談でうかがう限り、何十年も地代を納めてきたご家族と地主との間には、条文に書かれていない経緯があります。当社にできるのは、その前の段階で、建物と借地権の現況のままの価値をはっきりさせ、地主とのお話し合いに持っていける資料——建物の登記、道路と接道の状況、残存期間、地代の記録——を揃えてお渡しすることです。
根拠:借地借家法第19条第1項〜第3項、第6項
地主が承諾せず、それでも買主が建物を取得したときは、建物買取請求権があります
借地借家法第14条は、第三者が借地上の建物を取得した場合において、地主が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、その第三者は地主に対し、建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を「時価で買い取るべきことを請求することができる」と定めています。承諾が得られなかったからといって、建物の価値が消えるわけではない、という建て付けです。同じ考え方の条文が、借地権の存続期間が満了して契約の更新がないときにもあり(第13条第1項)、借地権者は地主に建物を時価で買い取るよう請求できます。そして第16条は、第10条・第13条・第14条に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは無効、と定めています。契約書に「建物買取請求はしない」と書いてあっても、その部分は効かない、ということです(定期借地権など、法律が別に認めている場合を除きます)。競売や公売で建物を取得した方については、第20条が別に承諾に代わる許可の申立てを定めており、その申立ては建物の代金を支払った後二月以内に限られます(同条第3項)。
当社は、この請求権を当てにして承諾のないまま買い取る、という進め方はいたしません。時価をめぐって争いになれば、売った方も巻き込まれます。この条文は、承諾が得られないときに借地権者の側が丸損にならないための最後の受け皿として知っておいていただくもので、入口ではありません。当社がまずお出しするのは、承諾を前提としたときの買取価格と、承諾が得られなかった場合に何が残るのか、の二つを分けた見立てです。
根拠:借地借家法第13条第1項、第14条、第16条、第20条第1項・第3項
平成4年8月1日より前の借地は「旧法」のままです。契約書が無くても、権利は続いています
今の借地借家法は平成4年8月1日に施行され、それより前に設定された借地権は、附則の定めにより旧借地法の扱いが残っています。借地借家法附則第2条で借地法(大正10年法律第49号)は廃止されましたが、附則第4条は、この法律の規定は施行前に生じた事項にも適用するとしつつ、ただし書で廃止前の法律により生じた効力を妨げないとし、附則第6条は、施行前に設定された借地権に係る契約の更新については「なお従前の例による」と定めています。旧法の期間は、制定時の条文では、石造・煉瓦造などの堅固な建物で60年、その他の建物で30年、契約で定める場合は堅固30年以上・その他20年以上(旧法第2条)、更新後は堅固30年・その他20年(同第5条)でした。今の法律の30年(第3条)、更新後10年・最初の更新は20年(第4条)とは別の数え方です。木造密集地域の古い借地は、ほとんどがこの旧法の時代に始まっています。「契約書が見当たらない」「地代は手渡し」というご相談も多いのですが、民法第601条は賃貸借の成立に書面を要件としておらず、期間が満了しても建物がある限り、借地権者が使用を継続していて地主が遅滞なく異議を述べなければ、従前と同一の条件で更新したものとみなされます(借地借家法第5条第2項。旧法では第6条)。異議には正当の事由が要ります(第6条)。一方で、承諾に代わる許可(第19条)については、附則に旧法時代の借地を除く定めがありません。附則第4条本文により、旧法の借地にも及びます。
実務で最初に確かめるのは、いつから借りているか、です。契約書があればその日付、無ければ地代の領収書や振込の記録、建物の登記事項証明書の新築年月日、固定資産税の課税明細を並べて、旧法か新法か、残存期間がどれくらいか、の見当を付けます。この整理は、当社が査定の一部として行います。地主にお話しする前に、ご自分の権利がどういう状態にあるのかを把握しておくためのものです。
根拠:借地借家法第3条〜第6条、附則第2条・第4条・第6条/借地法(大正10年法律第49号・廃止)第2条・第5条・第6条/民法第601条/施行日は東京地方裁判所の案内による
借地権を守っているのは、建物の登記です。未登記だと、地主が代わったときに弱くなります
借地権そのものが登記されているかどうかは、土地の登記事項証明書の乙区で分かります。権利の登記は地主との共同申請が要るため(不動産登記法第60条)、されていないことも珍しくありません。その代わりに借地借家法第10条第1項は、借地権は「その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる」と定めています。守っているのは建物の登記です。ここが未登記だと、二つの弱さが重なります。一つは、地主が底地(借地権の付いた土地)を第三者に売ったときです。民法第605条の2第1項は、借地借家法第10条などの対抗要件を備えた場合にその不動産が譲渡されたときは賃貸人たる地位が譲受人に移転する、と定めています。裏返せば、対抗要件が無いと、新しい地主に対して「私が借りている」と言い切れません。もう一つは、売るときです。買う方が建物の所有権移転の登記を受けられないため、住宅ローンの担保にもなりません。建物が親名義のままなら、相続登記の義務(不動産登記法第76条の2第1項・3年以内)が、そもそも表題登記が無いなら、その手続が、承諾の前に来ます。建物が滅失した場合でも、必要事項を土地の上の見やすい場所に掲示すれば対抗力は続きますが、滅失の日から二年を経過した後は、その前に新たに建物を築造して登記した場合に限られます(第10条第2項)。再建築不可の借地では、この二年の道が事実上使えない、ということも書いておきます。
査定の最初に、建物の登記事項証明書を当社で取得します。表題部の所有者と、権利部の名義、そして土地の登記事項証明書の乙区に賃借権や地上権の登記があるかどうかを見ます。未登記だった場合の順番は、未登記の記事にまとめたとおりで、当社の負担で土地家屋調査士・司法書士へつなぐことはできませんが、何をどの順番で頼めばよいかの整理と、その間の査定額の見通しはお出しできます。
根拠:借地借家法第10条第1項・第2項/民法第605条、第605条の2第1項/不動産登記法第60条、第76条の2第1項
地主の承諾があっても、再建築不可なら建てられません。ここが、借地権の値段を分けます
借地の契約には、増改築や建て替えに地主の承諾を要する特約が付いていることが多くあります。借地借家法第17条第2項は、増改築を制限する特約がある場合に、土地の通常の利用上相当とすべき増改築について協議が調わないときは、裁判所が地主の承諾に代わる許可を与えることができる、と定めています。しかし、これは契約上の話です。前面の道が建築基準法上の道路に当たらない、接道が足りないという再建築不可の理由は、地主の承諾でも裁判所の許可でも消えません。建築基準法の側で建てられない以上、承諾を得ても建て替えはできないのです。第7条の「建物の再築による借地権の期間の延長」も同じで、建物を新たに築造できることが前提です。つまり再建築不可の借地では、借地権の中身は「今ある建物を、直しながら使い続ける権利」に近づきます。この点は、同じ借地権でも建て替えができる土地とは値段の考え方が違うところで、多くの解説がここを分けずに書いています。なお、直せる範囲そのもの(大規模の修繕・模様替の線引き)は、リフォームの記事にまとめています。
当社の査定では、この順番で見ます。①その土地で建て替えができるのか(道路・接道・区の許可制度)②借地権が旧法か新法か・残存期間はどれくらいか③建物の登記と状態④地代と、これまでの経過。①が「できない」なら、②以下の評価の土台が変わります。地主にとっても、借地権者にとっても、建て替えのできない借地は出口が限られます。だからこそ、次の07で書くように、底地と借地権を一つにまとめる道を、両方の側から検討する意味が出てきます。
根拠:借地借家法第7条第1項、第17条第2項/建築基準法第43条第1項
値段の目安として「借地権割合」を見かけますが、あれは相続税のための数字です
「借地権の価値は土地の6割・7割」という言い方を見かけます。出どころは相続税の評価で、国税庁のタックスアンサー(No.4611)は、借地権の価額は、借地権の目的となっている宅地の自用地としての価額に借地権割合を乗じて求める、としています。借地権割合は借地事情が似ている地域ごとに定められ、路線価図に、路線価の右隣の記号A(90%)・B(80%)・C(70%)・D(60%)・E(50%)・F(40%)・G(30%)で示されています。たとえば「215D」なら、1平方メートル当たり215,000円で、借地権割合60%という読み方です。ご自分の土地の記号は、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で誰でも確かめられます。ただし、これは相続税・贈与税の申告のための割合で、売買の値段を決めるものではありません。実際に借地権を第三者へ売るときの値段は、地主の承諾が得られるか(得られる場合の財産上の給付)、地代の水準、残存期間と旧法・新法の別、建物の状態、そして再建築不可であれば建て替えができないことの減価で決まります。出口も一つではありません。借地権者が底地を買い取る、地主が借地権を買い取る(第19条第3項の介入権はその一形態です)、底地と借地権を同時に第三者へ売る——この三つのどれかで権利が一つにまとまると、買う方から見た土地の姿は普通の所有地に戻ります。再建築不可という道路の事情は残りますが、権利の複雑さは消えます。
当社は、承諾料・更新料・名義書換料の相場をこのページに書いていません。条文に金額の定めが無く、当社が実測した数字も持っていないからです。代わりに、査定では①承諾を前提とした借地権付き建物の買取価格②地主と一緒に底地ごと売る場合の価格の考え方③地主に借地権を買ってもらう場合に用意すべき資料、の三つを分けてお出しします。地主の側からのご相談(借地人が出ていった底地、地代が入らなくなった底地)もお受けしています。どちらの側であっても、結果として当社にお売りにならなくて構いません。
根拠:国税庁タックスアンサーNo.4611「借地権の評価」、同「路線価図の説明」/借地借家法第19条第3項
鑑定委員会の費用は、
国が負担します。
「裁判所の手続はお金がかかる」と言われますが、内訳を分けると見え方が 変わります。以下は、条文と東京地方裁判所民事第22部の案内に載っている 手続と数字だけを2026年9月18日に確認して並べたものです。 当社が推計した数字、弁護士費用の目安、承諾料の相場は含めていません。
地主への承諾のお願い
売却の前に。承諾を条件にした契約が実務の形です
民法第612条第1項
賃借権を譲り渡すには賃貸人の承諾が要ります。承諾の形式について条文に定めはありませんが、後日のために書面で残すのが通例です。承諾を得ずに買主に使用させると、地主は契約を解除できます(同条第2項)。
補足:地上権である場合は、この承諾を要する旨の条文はありません(民法第265条)。契約書と土地の登記事項証明書(乙区)で確かめます。
承諾に代わる許可の申立て(借地非訟)
申立てから第1回審問まで概ね1か月〜1か月半(東京地方裁判所の案内)
借地借家法第19条第1項/東京地方裁判所民事第22部「借地非訟事件手続の流れ」
申立書(正本1通、副本は相手方の人数分)に、土地・建物の固定資産評価証明書(原本)、賃貸借契約書等の証拠資料、現場の住宅地図を添えます。その後、鑑定委員会の現地調査が審問期日から約1か月半後に行われ、さらに1か月〜1か月半で審問期日が開かれる、と案内されています。
補足:裁判所は、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、譲渡を必要とする事情その他一切の事情を考慮します(第19条第2項)。許可を財産上の給付に係らしめることができます(第1項後段)。
申立手数料と郵便切手
手数料は固定資産税評価額の2分の1を基準に算定。切手は相手方1名で6,000円
東京地方裁判所民事第22部「第3 費用」
申立手数料は借地権が設定された土地の価格を基礎とし、固定資産税評価額のある土地はその価格を基準に、平成6年4月1日から当分の間、固定資産評価額に2分の1を乗じた金額を基準とする、と案内されています(増改築許可の申立ては10分の3をさらに2分の1にした金額)。借地が土地の一部なら、その面積の割合を乗じます。
補足:郵便切手は相手方1名の場合6,000円、相手方が1名増えるごとに1,000円を追加。手数料は収入印紙で納めます。鑑定委員会の費用は国が負担するので当事者の負担はありません。
鑑定委員会
弁護士・不動産鑑定士・有識者(建築士を含む)から3人以上
借地借家法第19条第6項/東京地方裁判所民事第22部の案内
裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、許可の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければなりません。委員会は現地調査のうえ意見書を提出し、当事者は審問期日の前までに、これに対する意見を書面で出すよう求められます。
補足:承諾料に当たる「財産上の給付」の額は、この意見書を踏まえて裁判所が定めます。条文に金額の定めはありません。
地主の介入権(自ら買い取る申立て)
裁判所が定める期間内に地主が申し立てたとき
借地借家法第19条第3項〜第5項
地主が自ら建物の譲渡と賃借権の譲渡を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は相当の対価と条件を定めてこれを命ずることができます。この裁判があった後は、当事者の合意がなければ申立てを取り下げられません(第5項)。
補足:つまり、第三者へ売るつもりで申し立てても、地主が買い取る結果になることがあります。申立ての前に、地主に買ってもらう案も含めて考えておく必要があります。
承諾が得られなかったときの建物買取請求
買主が建物を取得したのに地主が承諾しないとき
借地借家法第14条・第16条
建物を取得した第三者は、地主に対し、建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を時価で買い取るよう請求できます。この規定に反する借地権者に不利な特約は無効です。
補足:競売・公売で建物を取得した方は、建物の代金を支払った後二月以内に限り、承諾に代わる許可を申し立てられます(第20条第1項・第3項)。
借地非訟事件の類型は、東京地方裁判所の案内では六つに整理されています。 借地条件の変更(借地借家法第17条第1項)、増改築の許可(同条第2項)、 更新後の建物の再築の許可(第18条第1項・平成4年8月1日以降に設定された 借地権が対象)、賃借権の譲渡又は転貸の許可(第19条第1項)、競売又は公売に 伴う賃借権の譲受けの許可(第20条第1項)、そして地主が建物と賃借権を自ら 譲り受ける申立て(第19条第3項・第20条第2項)です。売却で使うのは四つ目と、 その裏側にある六つ目です。弁護士に委任する場合は委任状が要る、と 案内されています。
地主に話す前に、
自分の権利の状態を先に出します。
借地の売却は、地主とのお話し合いから始まります。そのとき手元に、 旧法か新法か、残存期間、建物の登記、地代の記録、そして現況のままの 価格が揃っているかどうかで、話の進み方が変わります。当社は、承諾の前の 段階でこの整理と査定をお受けしています。結果として当社にお売りに ならなくても構いません。
契約書が見当たらない。地代は親が手渡しで払っていた
珍しいことではありません。民法第601条は賃貸借の成立に書面を要件としておらず、期間が満了しても建物がある限り、使用を続けていて地主が遅滞なく異議を述べなければ、従前と同一の条件で更新したものとみなされます(借地借家法第5条第2項。平成4年8月1日より前の借地は旧法第6条)。まず、地代の領収書・振込の記録、建物の登記事項証明書、固定資産税の課税明細を集めてください。当社は、それらから旧法か新法か・残存期間の見当・対抗力の有無を整理し、査定と一緒にお渡しします。地主にお話しする前に、ご自分の権利の状態を把握しておくためです。
地主に相談したら「承諾はしない」と言われた
条文上は、借地借家法第19条第1項の承諾に代わる許可の申立てという道があります。ただ、当社はすぐにそれをお勧めしません。地主が承諾しない理由が「その買主だから」なのか「誰であっても」なのかで、進め方が変わるからです。地主自身に借地権を買い取ってもらう、底地と借地権を一緒に売る、という出口もあります。当社は、この三つの案それぞれについて、金額の見立てと必要な資料をお出しします。お話し合いの席に当社が同席することはできませんが、持っていく資料は用意できます。
地主から「そろそろ更地にして返してほしい」と言われた
更新を拒むには、地主の側に正当の事由が要ります(借地借家法第6条。旧法時代の借地の更新については附則第6条により従前の例)。そして更新がないときでも、建物があれば、借地権者は建物を時価で買い取るよう地主に請求できます(第13条第1項)。この規定に反する借地権者に不利な特約は無効です(第16条)。「更地にして返す」という契約書の文言だけで決まる話ではない、ということを先にお伝えします。そのうえで、返す・売る・買ってもらうのどれが現実的かは、建物の状態と残存期間によります。査定の段階で分けてお示しします。
建物が未登記、または亡くなった親の名義のまま
借地権の対抗力は、借地権者が登記されている建物にかかっています(借地借家法第10条第1項)。表題登記が無ければ土地家屋調査士へ、名義が親のままなら相続登記(不動産登記法第76条の2第1項・3年以内)を司法書士へ、という順番が承諾の前に来ます。順番と費用の考え方は未登記の記事にまとめました。当社は、その間も査定をお受けしています。登記が整った時点の価格の見通しを先にお伝えしておけば、手続にかける費用の判断ができます。
地主が土地を売ったらしく、知らない会社から連絡が来た
借地権の対抗要件(借地借家法第10条第1項)を備えていれば、底地が譲渡されても賃貸人たる地位は譲受人に移り(民法第605条の2第1項)、借地権はそのまま続きます。新しい地主から地代の値上げや立退きの申し出があっても、条文上の位置は変わりません。地代の増減は当事者の請求によりますが、協議が調わなければ裁判が確定するまで相当と認める額を支払えば足ります(借地借家法第11条第2項)。当社は、新しい地主に借地権を買ってもらう案、底地を買い取る案、第三者へ売る案の三つを分けて見立てをお出しします。
こちらは地主の側。借地人が出ていって、家だけ残っている
底地のご相談もお受けしています。借地権者が建物を残したまま連絡が取れない、地代が入らなくなった、という場合、建物の所有権と借地権は依然として借地権者(またはその相続人)にあり、地主が勝手に取り壊すことはできません。相続人の調査、借地契約の解除の要件、建物収去の手続は弁護士・司法書士の領域です。当社にできるのは、底地としての価格の見立てと、借地権と底地を一つにまとめた場合の価格の考え方をお示しすることです。再建築不可の土地であれば、まとめても建て替えはできませんので、その前提で数字をお出しします。
再建築不可という制度そのものの説明、査定で見ている五つの点、買取までの流れは再建築不可物件の買取ページに、前の道が建築基準法上の道路に当たるかどうかは未接道の土地・建物の買取ページに、竿の部分の幅と長さの見方は旗竿地(路地状敷地)の買取ページにまとめています。
建物が登記されていないときの順番は未登記の記事に、建物や土地の登記簿に古い抵当権が残っているときは古い抵当権の記事に、借地権つきの建物を売ったあとに、建物の傷みの責任を問われるのかは売ったあとの責任の記事に、地主の承諾とは別に、私道の通行・掘削の承諾が要ると言われたときの条文は私道の通行・掘削の記事に、借りている人や親族が住んだまま売るときの決まり(賃貸借・使用貸借)は住んだまま売る記事に、「更地にして返す」ために壊すときに要る手続(建設リサイクル法の届出・石綿の事前調査・滅失登記)は解体して更地にするかの記事に、相続が起きたあとの手続は相続の記事に、建物の名義がきょうだいの共有になっている場合は共有の記事に、相続人の一人と連絡が取れないときの居場所の辿り方と家庭裁判所・地方裁判所の手続は相続人と連絡が取れないときの記事に、がけや古い擁壁に接する家の建て替えの条件と区の助成はがけ・擁壁の記事に、名義のご本人がご自分で判断できなくなっているときは成年後見の記事に、売ったときの税は売ったときの税金の記事にまとめています。
直せる範囲の線引きはリフォームの記事に、役所の書類で前の道を確かめる手順は調べ方の記事に、敷地の輪郭を確定させる話は境界と越境の記事に、買い手が付きにくい理由は売れない理由の記事に、持っているあいだの税は固定資産税の記事にまとめています。
自分が地主の側で、家を貸すときの借地借家法(借家の側)は貸したほうがいいのかの記事に、決めずに置いておいた場合に進むことは空き家の放置の記事に、所有地であれば取り壊して国に引き取ってもらう道は国庫帰属の記事にまとめています(借地権は土地の所有権ではないため、国庫帰属の申請の対象に なりません)。
区ごとの建て替えの許可制度と窓口は、足立区・葛飾区・北区・板橋区・荒川区・墨田区のページにまとめています。借地権付きの建物であっても、建て替えの可否は 土地の側の事情で決まります。
借地の上の家の売却についての Q&A
買取のご相談の中で、実際によくいただくご質問をまとめました。 いずれも制度の一般的な説明です。個別の借地権の有無・契約の効力・ 許可の見込みは、弁護士・司法書士・裁判所へご確認ください。
このページについて
- 作成・運営
- 株式会社First Realty
- 代表者
- 代表取締役 野口 勇
- 宅地建物取引士
- 野口 勇(登録番号 第261304583号)
- 免許
- 宅地建物取引業 東京都知事免許(1)第113689号
- 所在地
- 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-1-3 アミーホール5F
- 電話
- 03-6821-4617(10:00 – 19:00/定休 火曜・水曜)
- 加盟団体
- 公益社団法人 東京都宅地建物取引業協会/公益社団法人 全国宅地建物取引業保証協会
- 参照した手続の案内
- 東京地方裁判所 民事第22部「借地非訟事件」(借地非訟とは/手続の流れ/費用)
- 条文・手続・窓口の確認日
- 2026年9月18日
- 最終更新
このページが参照した公開情報
本文の条番号は、以下の公開情報を2026年9月18日に確認して記載して います。民法は2026年6月24日に改正されているため、改正前の条文も取得して 賃貸借・地上権・相続の規定に変更が無いことを確かめました。旧借地法 (大正10年法律第49号)は廃止されており、制定時の条文を大学の法令データ ベースで確認しています。昭和41年の改正で加わった条文は原文を確認できて いないため引用していません。手続の流れ・期間・費用は東京地方裁判所民事 第22部の案内によるもので、他の裁判所では運用が異なることがあります。 制度・様式・窓口は更新されますので、お確かめのうえご利用ください。 このページは制度の一般的な説明であり、個別の借地権の有無・契約の効力・ 許可の見込みを判定するものではありません。承諾料・更新料・名義書換料の 相場は、当社が実測していないため記載していません。
- 借地借家法(平成三年法律第九十号)|e-Gov法令検索
- 民法(明治二十九年法律第八十九号)|e-Gov法令検索
- 不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)|e-Gov法令検索
- 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)|e-Gov法令検索
- 借地法(大正十年法律第四十九号・廃止)制定時の条文|名古屋大学 法令データベース
- 第1 借地非訟とは|東京地方裁判所 民事第22部
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当社は不動産の買取業者であり、借地非訟の申立てを代理する立場にも、 地主との交渉を代行する立場にもありません。契約の効力と手続は弁護士・ 司法書士へ、承諾に代わる許可は裁判所へ、建て替えの可否は建築士と お住まいの区の建築課へ、相続税・譲渡所得の取扱いは税理士または所轄の 税務署へご確認ください。当社にできるのは、現況のままの買取価格を お出しすることと、査定の過程で調べた登記・道路・接道・借地の経過の 資料をお渡しすることです。その資料は、地主や専門家とお話しになるときに、 そのままお使いいただけます。
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宅地建物取引業 東京都知事免許(1)第113689号
